2007年8月29日水曜日

休む理由も理路整然と述べよ


よく知られているように、日本語では自然な文でもそのまま英語にしてしまうと全く意味が分からないというような文は、それこそ無限にあるだろうし、文化が違うのだから当然。内容はともかく、Lost In Translation という映画もあった。

というようなことをぼんやりと考えていた今朝、「正しい英語」のはずなのに通じない - 1つの結論と複数のサポートというエントリを見つけた。

このエントリで言わんとしていることはたぶん同意できるんだろうけれど、その説明はぜんぜん的を射てないし、とくに「英語で会社を休むのはタイヘン」はヒドすぎて笑った。

いわく
「風邪をひいたので、会社を休みます」がとても日本語的な表現だということはわかるでしょうか。英語の視点では、「風邪をひいた」という表現はあいまいで、そのあとに「会社を休む」と続けるにはギャップもあります。英語だったら、「会社を休みます。というのも、熱が37.5度あって平熱よりもずいぶ ん高くて、くしゃみや鼻水も出るんです。仕事をしても効率は悪いと思うし、風邪だったらほかの人に移してはいけないし、医者にも行った方がいいと思っています」となるでしょう。
なりませんって。

確かに、日本人にとっては理由になってるのにアメリカ人にとっては理由に聞こえないってことはたくさんあるんだろうけれど、この例はありえないにもほどがある。

そもそもプライベートなことは誰も訊かない(いわゆる politically incorrect)し、訊いてもないことをいちいち言うのはバカだし、訊かれてもいないことをあれこれ言えば言い分けがましく聞こえるだけ、つまり正直に聞こえない。

なので、たとえば、
I'm out sick today (今日は、病欠します)
みたいに完結にメールするだけで十分。

日本でこれをやったら「反省の色が見えない」とか言われるかも知れないけれど、ただの病欠ごときでそもそも反省することなど何もないし、アメリカでは反省なんていう非建設的な儀式への参加を強要されたりしないので、これでいい。

また、思ったよりも辛くなってる感じを仲の良い同僚などに伝えたければ、たとえば、
My cold got worse, so I'll be spending a day or two at home. (風邪こじらせちゃったんで、一日二日、家でゆっくりしてますね)
みたいに書いてもいいけれど、これくらいが限界だと思う。いちいち、病気の症状の説明をしたり、会社に行かない方がよいと思われる理由を説明したり、はっきり言ってまったく意味が分からないし、逆にびっくりされると思う。

アメリカの職場において、風邪で休む理由を上の説明みたいに長々とする必要があるとしたら、それは、そんなことを要求する異常な上司を持っているからにほかならない。そんな日本人みたいな上司は間違いなく日本人だろうし、そんな上司の下で働いていては、何のために命からがら国境を越えてきたのか分からない。

まあ、今度、ぼくが病欠するチャンスがあったら、ぜひ上の長い説明をメールしてみたい。めちゃくちゃ受けると思う。